急な坂スタジオWS アリス・プロジェクト

ドラマトゥルクの目線

アリスプロジェクトは女性のみのプロジェクトのはずなのに、スタジオに行くといつもいるあのヘンなオジサンはナニ?そう思っている方もいらっしゃると思うので、初回はドラマトゥルクとは何ぞやということについて書いてみたいと思います。

でもドラマトゥルクが、どのようなことをどこまでするのかということは人や国、プロジェクトによって違うと思うので、ここでは私が考えるドラマトゥルクの役割について書きます。

私は今回、このアリスプロジェクトの主宰者であり、演出家である仲田恭子さんのドラマトゥルクとしてこのプロジェクトに参加しています。演出家は仲田さんなので、私は演出をしません。いわゆる演出補佐のようなことなのかというと、そういうのとも違うと思います。では何をするのかというと、隠れているテーマや、気になっていることの本質、何が問題となっているのか、または問題と感じていることは本当に問題なのか、というようなことなどを、一緒に探っていくというものです。そのときに大事なのは、上からの目線、俯瞰図のような目線で、ものを見ないということです。目線はあくまで演出家と同じ地平にたった並行目線で、コトの本質を探っていくべきだと考えています。演出家が見ている視線の先には何があるのか、その視線の先に、ドラマトゥルクの視線が重なると、見えていなかったものが浮かんでくるのだと思います。これは演出家単独の作業でも、ドラマトゥルク単独の作業でもいけなくて、演出家の視点とドラマトゥルクの視点を結んでできた底辺から新たな一点を導き定めて、予期しなかった三角形を描き出すような作業とも言えるかもしれません。そしてその際に重要なのが、ドラマトゥルクの好みに偏向してはならないということです。俯瞰図のような目線で、コトに接するべきではないと述べたのはそのためです。ドラマトゥルクの俯瞰図の目線は、そのままドラマトゥルクの好みや、クセに依拠した目線となってしまうおそれがあるからです。答えはドラマトゥルクの中にあるのではなくて、作品と演出家、そして出演者の中にあるのです。大事なことは、その作品にとって、演出家にとって、本当に重要な本質は何かということです。ドラマトゥルクの作業はこの点から外れることなく、演出家と共に答えを探り出していかなければならないのだと思います。

次回からは、このようなドラマトゥルク目線でみえたアリスプロジェクトのいろいろなことについて書いていきたいと思います。

イシバシ・ゲンシ

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